エキスパンドメタル
使用例
特長
エキスパンドメタルは、金属板を特殊な機械によって千鳥状に切れ目を入れると同時に押し拡げ、菱形あるいは亀甲形の網目状に加工した製品です。
一般に鋼板(マイルドスチール)を原板としますが、その他にステンレス鋼板やアルミニウム、銅、チタン、ニッケル等の非鉄金属板およびその合金板を原板として製造することも可能です。
- エキスパンドメタルは、他の床用鋼板に比べて軽く、しかも強い。
- 1枚の板から作られるので、網目がもつれたり、ほどけたりしません。
- エキスパンドメタルの網目は、光、熱、音、空気を通します。しかし、侵入者に対する防壁となり、例え何ヵ所か切断されても網目はバラバラになりません。
- 床用鋼板に使用する場合、すべり止めに対して高い効果を発揮します。
各部の名称と用語
名称
- SW
- メッシュの短目方向中心間距離
- LW
- メッシュの長目方向中心間距離
- T
- 板厚
- W
- 刻み幅(送り幅)
- B
- ボンド長さ
- D
- エキスパンドメタルの全厚
- SWO
- 開口部の短目方向長さ
- LWO
- 開口部の長目方向長さ
- ストランド
- メッシュの細い部分
- ボンド
- メッシュの交差している太い部分
- L
- メッシュの長目方向製品寸法(巾)
- S
- メッシュの短目方向製品寸法(長さ)
製品寸法はL×Sでお呼び下さい。
用語
- 引伸率
- 鋼板を引伸ばした割合
- 開口率
- 開口部の割合
- 比表面積
- エキスパンドメタル1㎡当りのメッシュの表裏2面分の表面積(㎡/㎡)。但し、周辺の端面は含まれません。
- ボンド切断
- 網目に合せたボンド部でのL寸法の切断
- フルメッシュ
- 網目に合せたボンド部でのS寸法の切断
- 乱切断
- 網目に関係なしのストランド部での切断(特に再切断の時発生)
- タタミ目
- 製品寸法L×SでL<Sの形状の製品(例…3′×6′、4′×8′、図参照)
- ソロバン目
- 製品寸法L×SでL>Sの形状の製品(例…6′×3′、8′x4′、図参照)
- 亀甲形
- エキスパンドメタルのボンド部の長いメッシュの形状(図参照)
- 菱形
- エキスパンドメタルのボンド部の短いメッシュの形状(図参照)
製造方法
成型方法
エキスパンドメタル製造機のラムによって上刃がメッシュ寸法に応じたストロークで上下運動を繰り返します。
さらにこの時、上刃は上下運動に連動したカム機構またはレバー機構により、交互に横方向へ½LWストロークだけ移動します。
一方、原板は上刃の上下運動に連動した送り装置で、間歇的に前方へ送られます。
これらの特殊なエキスパンドメタル成型機構により、上刃は原板に千鳥状の切れ目を入れ、
同時にこれを押し拡げながらメッシュ(EXPANDED METAL)を成型します。
フラット加工
エキスパンドメタル表面の隆起は、優れた特性のひとつですが、用途によっては欠点となります。 この場合、スタンダードのエキスパンドメタルを圧延ロールにかけ、網目全体が同一平面となり、フラット(平形)になります。
規格
鋼製エキスパンドメタルについては「JIS G 3351:1987エキスパンドメタル」に規定されています。
原板材料規格
使用原板の材質は、JIS G3131(熱間圧延軟鋼板および鋼帯)の1種(SPHC)によるものを標準とします。鋼板および鋼帯の引張強さ、伸びおよび曲げは下表によります。ただし曲げの場合は、その外側にきれつを生じてはなりません。また、鋼板および鋼帯の化学成分は、とりべ分析によります。
記号 | 引張試験 | 曲げ試験 | 化学成分(%) | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
引張 強さ N/㎟ |
伸び(%) | 試験片 | 曲げ 角度 |
内側半径 | 試験片 | P | S | |||||||
1.2 ≦t< 1.6 |
1.6 ≦t< 2.0 |
2.0 ≦t< 2.5 |
2.5 ≦t< 3.2 |
3.2 ≦t< 4.0 |
4.0 ≦t |
t< 3.2 |
3.2 ≦t |
|||||||
SPHC | 270 以上 |
27 以上 |
29 以上 |
29 以上 |
29 以上 |
31 以上 |
31 以上 |
5号 圧延 方向 |
180° | 密着 | 厚さの 0.5倍 |
3号 圧延 方向 |
0.045以下 | 0.035以下 |
- 板厚 t (mm)
- 引張試験
試験方法はJIS Z 2241(金属材料引張試験方法)の規定による。
試験片は成形前の鋼板から切り取り、JIS Z 2241の附属書に規定する1号または5号試験片を用いる。 - 曲げ試験
試験方法はJIS Z 2248(金属材料曲げ試験方法)の規定による。
試験片は成形前の鋼板から切り取り、JIS Z 2248に規定する1号または3号試験片を用いる。
寸法および重量の許容差
寸法許容差は下記のとおりとします
SWの許容差 | ±5% |
---|---|
LWの許容差 | ±2mm |
Sの許容差 | +25mm、-0mm |
Lの許容差 | 鋼板のJISに示す値(後記、JIS G 3193) |
Tの許容差 | 鋼板のJISに示す値(後記、JIS G 3131) |
Wの許容差 | ±10% |
横曲り | 1000 mmに対して5mm以下とし、全長に対して 5mm×(長さmm/1000 mm)以下とする。 |
長さの偏差 | XG 1000 mmにつき6mm以下 XS 1000 mmにつき10mm以下 |
- SWおよびLWは連続した10メッシュ、10メッシュに満たない場合は最大メッシュ数について測り、その平均値をとる。
- LおよびSは、標準製品寸法においてLはLW/2の整数倍、SはSWの整数倍である。標準製品寸法以外の製品寸法についてはSはSWの整数倍であるが、Lは必ずしもLW/2の整数倍とならない。
Lの許容差はJIS G 3193を適用します。
鋼板の長さの許容差A | 鋼板の長さの許容差B (再切断又は精密切断を行ったもの) |
|||||
---|---|---|---|---|---|---|
長さ (mm) |
許容差 (mm) |
長さ (mm) |
厚さ (mm) |
許容差 (mm) |
||
600以上 4000以上 6000以上 8000以上 |
4000未満 6000未満 8000未満 10000未満 |
+20、-0 +30、-0 +40、-0 +50、-0 |
6300未満 | 6.00未満 6.00以上 |
+5、 +10、 |
-0 -0 |
6300以上 | 6.00未満 6.00以上 |
+10、 +15、 |
-0 -0 |
(一部抜粋)
- 長さおよびカットエッジの場合の幅の許容差は、特に指定のない限り許容差Aによる。
- 許容差Bの場合については、乱切断となる場合があります。
Tの許容差はJIS G 3131を適用します。
幅厚さ | 1200未満 | 1200以上1500未満 | 1500以上1800未満 | 1800以上2300以下 |
---|---|---|---|---|
1.60未満 | ±0.14 | ±0.15 | ±0.16(1) | - |
1.60以上 2.00未満 | ±0.16 | ±0.17 | ±0.18 | ±0.21(2) |
2.00以上 2.50未満 | ±0.17 | ±0.19 | ±0.21 | ±0.25(2) |
2.50以上 3.15未満 | ±0.19 | ±0.21 | ±0.24 | ±0.26 |
3.15以上 4.00未満 | ±0.21 | ±0.23 | ±0.26 | ±0.27 |
4.00以上 5.00未満 | ±0.24 | ±0.26 | ±0.28 | ±0.29 |
5.00以上 6.00未満 | ±0.26 | ±0.28 | ±0.29 | ±0.31 |
6.00以上 8.00未満 | ±0.29 | ±0.30 | ±0.31 | ±0.35 |
8.00以上 10.0未満 | ±0.32 | ±0.33 | ±0.34 | ±0.40 |
10.0以上 12.5未満 | ±0.35 | ±0.36 | ±0.37 | ±0.45 |
12.5以上 14.0以下 | ±0.38 | ±0.39 | ±0.40 | ±0.50 |
(2)幅2000未満について適用する。
エキスパンドメタルの重量については注文者の指定があった場合に計量し、その許容差は次のとおりとします。
区分 | 1組の計算重量 | 許容差(%) | 摘要 |
---|---|---|---|
厚さ 3mm未満 | 600kg未満 | ±10 | 同一種類、同一寸法のものを1組として計算する。 |
600kg以上2t未満 | ±7.5 | ||
2t以上 | ±5 | ||
厚さ3mm以上 6mm未満 | 1t以下 | ±10 | |
1tをこえるもの | ±5 | ||
厚さ 6mm以上 LまたはS2500mm未満 |
- | 1枚につき±9 | 同一種類、同一寸法のものを10枚以上1組として計算する場合は左の数値の⅔ |
厚さ 6mm以上 LまたはS2500mm以上 |
- | 1枚につき±12 |
重量の算出法
エキスパンドメタルの重量は、表示の寸法を用いて算出します。単位重量(kg/㎡)は、次式により算出し、上位3ケタの数値に丸めます。
エキスパンドメタル1枚の重量は、単位重量に面積(㎡)を乗じたものとします。面積は上位から4ケタの数値に、1枚の重量は上位から3ケタの数値に丸めます。
総重量は、エキスパンドメタル1枚の重量に同一寸法の製品の枚数を乗じたものとし、kgの整数値に丸めます。
数値の丸め方については、JIS Z 8401 を参照下さい。
標準製品寸法および面積
L(mm) | 914 | 1219 | 1524 | 1829 | 2438 | 3048 |
---|---|---|---|---|---|---|
S(mm) | 1829 | 2438 | 3048 | 914 | 1219 | 1524 |
面積(㎡) | 1.672 | 2.972 | 4.645 | 1.672 | 2.972 | 4.645 |
区分 | タタミ目 | ソロバン目 |
検査、表示および呼び方
外観、形状、寸法、重量、化学成分、引張試験および曲げ試験の成績が、それぞれの規定に合格しなければならない。
検査に合格したエキスパンドメタルには、1結束ごとに製造所で検査済の認印、種類・品番・寸法、製造所または、その略号を適当な方法で明示します。
呼び方は、エキスパンドメタルの種類、品番、製品寸法によります。
(例)
L寸法914mm S寸法1829mmで種類XG品番11のエキスパンドメタルは、次のように呼びます。
XG11 L914×S1829またはXG11 3´×6´
製品寸法はL×Sの順序でお呼び下さい。
比重一覧
鉄・ステンレス・アルミニウム合金以外の金属とその合金については、それぞれの種類に応じて密度が変わるため、詳細は非鉄金属JIS規格等を参照ください。参考までに、エキスパンドメタルの原板として比較的よく使用される金属の規格記号・元素記号および密度を次に掲げます。
材質名 | 記号 | 密度(g/c㎥) |
---|---|---|
熱延鋼板 | SPHC | 7.85 |
ステンレス鋼板 | SUS304 | 7.93 |
SUS304L | 7.93 | |
SUS316 | 7.98 | |
SUS316L | 7.98 | |
SUS317 | 7.98 | |
SUS430 | 7.70 | |
SUS430LX | 7.70 | |
アルミニウム合金 | AxxxxP,PC | 2.71 |
材質名 | 記号 | 密度(g/c㎥)(20℃) |
---|---|---|
金 | Au | 19.32 |
銀 | Ag | 10.49 |
すず | Sn | 7.2984 |
チタン | Ti | 4.507 |
鉄 | Fe | 7.87 |
銅 | Cu | 8.96 |
鉛 | Pb | 11.36 |
ニッケル | Ni | 8.902(25℃) |
白金 | Pt | 21.45 |
種類・用途
XG(G)シリーズグレーチング エキスパンドメタル詳細
XG(G)シリーズは荷重に対して強く、縞板鋼板に比べ約半分の重量ですみ、また、滑り止め効果も大きく、グレーチング用として最適の機能を備えており他の床用鋼製品に比べて経済的です。製品のメッシュは、溶接などによって組み合わされたものでないため、衝撃や振動などに強く、採光・通風をさまたげません。
- 用途
- 各種工場・プラント・船舶・建物の歩廊、階段の踏板、コンベヤー・クレーンの通路、土砂・落石止め、集水桝、側溝蓋、建築仮設材、ブラストフェンス、ロードマット等
XSシリーズスタンダード エキスパンドメタル詳細
XSシリーズ(XS30~60番台)はメッシュが美しく軽量です。装飾的な用途にも適しており、取扱い・施工が容易で採光・通風をさまたげず経済的隔壁として優れています。
XSシリーズ(XS70~80番台)は溶接金網等の棒鋼鉄筋製品に比べてコンクリートとの一体性が良く、ひび割れ分散効果があり、補強用として最適です。また、ゲージの大きいものは荷重に対して強く、じゃかご等に変わる土木用の新素材として注目されています。
- 用途
- 建築物の隔壁、工場・事務所の間仕切り、機械・モーター等各種機器の保護カバー、各種フェンス、通風ロ・窓格子等の侵入防止金網、養生網等または、コンクリート構造物の床・壁・柱・道路などのひび割れ防止補強材、落石防護棚、斜面安定構造材等
XFシリーズフラット エキスパンドメタル詳細
XFシリーズは、スタンダードエキスパンドメタル(XSシリーズ)を圧延口ールにかけることにより、網目全体をフラットにしたエキスパンドメタルでXS30番台、XS40番台、XS60番台が標準です。
エキスパンドメタル特有の形状が平らになり、やわらかな美しさが特徴で、XSシリーズ同様さまざまな用途に使われています。
DSXシリーズ(セーフエクス)ダイシン セーフティ エキスパンドメタル詳細
DSXシリーズは歩廊用安全エキスパンドメタルとして開発されたもので、突起部がエキスパンドメタルのメッシュのボンド部・ストランド部に適正に配置されているため、あらゆる方向にすべり止め効果が高く、すべり・転倒事故の防止に最適の床用エキスパンドメタルです。
- 用途
- 工場・プラント・船舶・建築物の歩廊、階段の踏板、コンベヤー・クレーンの通路、特に油・グリス・雪・雨水等が付着しやすい箇所
DMGシリーズダイシン モービル グレーチング詳細
DMGシリーズは立体駐車場用床用鋼板として開発されたもので、特にタイヤを傷つけないようにエキスパンドメタルのメッシュに特殊加工を施した、ノンスリップフロアーパネル用エキスパンドメタルです。
コンクリート床・縞板鋼板床に比べて軽量で経済的であるばかりでなく、通気性・採光性の点でも有利です。乗用車用の他にトラック用・バス用等各種強度のエキスパンドメタルがあります。
- 用途
- 店舗・マンション・アパート・空港・社員用等の立体駐車場やカーディーラー、メーカーのストックヤード駐車場、博覧会・催し物会場の臨時駐車場等
XPシリーズ汎用エキスパンドメタル詳細
XPシリーズはXG(G) ・XSシリーズ以外のメッシュの汎用エキスパンドメタルです。エキスパンドメタルの用途の広がりにともない、従来のXG(G)・ XSの他にさまざまなメッシュを用意しており、特にメッシュ(SW×LW)が10×20未満のものは、スモールメッシュエキスパンドメタルとして、広範な用途に使用されています。
SXPシリーズステンレス エキスパンドメタル詳細
SXPシリーズはステンレス鋼板を使用原板として製造されたエキスパンドメタルで、SUS304が標準品です。
素材特性により、特に耐蝕性・耐候性が要求される箇所に使用されており、メンテナンスの点で有利です。
- 用途
- 原子カプラント・化学工業プラント・食品工業プラント等各種プラント、航空宇宙機器、公害防止機器、省エネルギー機器、海浜構造物等または建築物天井パネル、各種花木棚、台所用品等
特品
材質
鉄・ステンレス以外に、銅・アルミニウム・チタン・ニッケル・すず等の非鉄金属板およびその合金板、 またはそれらのコイルを原板として製造することも可能です。
亜鉛めっき加工
エキスパンドメタルの防錆処理として、溶融亜鉛めっきを施すことができます。 亜鉛の膜厚はJIS H8641のHDZT49(平均膜厚49μm)以上です。 また、電気亜鉛めっきを施すことも可能です。
フラット加工
XFシリーズ以外にも、ご要望により様々なエキスパンドメタルにフラット加工を施すことができます。
その他の加工
曲げ加工・ショット加工・各種塗装・表面処理等ご相談ください。
各種寸法切断・切り揃え
設計に応じた寸法に切断・切り揃えができ、施工現場への直送が可能です。
製造可能範囲
共通諸元
メッシュ寸法(mm) | ストランド寸法(mm) | ||
---|---|---|---|
SW | LW | T | W |
0.5~100 | 1.0~203.2 | 下記 | 最大8.0 但しT<4.5 |
最大20 但しT≧4.5 |
標準製品寸法および面積
L(mm) | 914 | 1219 | 1524 | 1829 | 2438 | 3048 |
---|---|---|---|---|---|---|
S(mm) | 1829 | 2438 | 3048 | 914 | 1219 | 1524 |
面積(㎡) | 1.672 | 2.972 | 4.645 | 1.672 | 2.972 | 4.645 |
区分 | タタミ目 | ソロバン目 |
原板厚(T)・製品寸法(L)の可能範囲
使用原板が鉄(SPHC)の場合、原板厚(T)と製品寸法(L)の可能範囲は下図のようになります。
原板厚(T)・ 製品寸法(S) の可能範囲
使用原板が鉄(SPHC)の場合、原板厚(T)と製品寸法(S)の可能範囲は下図のようになります。
製品シリーズ一覧
XG(G)シリーズ
グレーチング エキスパンドメタル
XG(G)シリーズは荷重に対して強く、縞板鋼板に比べ約半分の重量ですみ、また、滑り止め効果も大きく、グレーチング用として最適の機能を備えており他の床用鋼製品に比べて経済的です。製品のメッシュは、溶接などによって組み合わされたものでないため、衝撃や振動などに強く、採光・通風をさまたげません。
- 用途
- 各種工場・プラント・船舶・建物の歩廊、階段の踏板、コンベヤー・クレーンの通路、土砂・落石止め、集水桝、側溝蓋、建築仮設材、ブラストフェンス、ロードマット等
XSシリーズ
スタンダード エキスパンドメタル
XSシリーズ(XS30~60番台)はメッシュが美しく軽量です。装飾的な用途にも適しており、取扱い・施工が容易で採光・通風をさまたげず経済的隔壁として優れています。
XSシリーズ(XS70~80番台)は溶接金網等の棒鋼鉄筋製品に比べてコンクリートとの一体性が良く、ひび割れ分散効果があり、補強用として最適です。また、ゲージの大きいものは荷重に対して強く、じゃかご等に変わる土木用の新素材として注目されています。
- 用途
- 建築物の隔壁、工場・事務所の間仕切り、機械・モーター等各種機器の保護カバー、各種フェンス、通風ロ・窓格子等の侵入防止金網、養生網等または、コンクリート構造物の床・壁・柱・道路などのひび割れ防止補強材、落石防護棚、斜面安定構造材等
XFシリーズ
フラット エキスパンドメタル
XFシリーズは、スタンダードエキスパンドメタル(XSシリーズ)を圧延口ールにかけることにより、網目全体をフラットにしたエキスパンドメタルでXS30番台、XS40番台、XS60番台が標準です。
エキスパンドメタル特有の形状が平らになり、やわらかな美しさが特徴で、XSシリーズ同様さまざまな用途に使われています。
DSXシリーズ(セーフエクス)
ダイシン セーフティ エキスパンドメタル
DSXシリーズは歩廊用安全エキスパンドメタルとして開発されたもので、突起部がエキスパンドメタルのメッシュのボンド部・ストランド部に適正に配置されているため、あらゆる方向にすべり止め効果が高く、すべり・転倒事故の防止に最適の床用エキスパンドメタルです。
- 用途
- 工場・プラント・船舶・建築物の歩廊、階段の踏板、コンベヤー・クレーンの通路、特に油・グリス・雪・雨水等が付着しやすい箇所
在庫品は、DSX103 4.5mm 4×8のみ。その他のサイズは、お問い合わせください。
DMGシリーズ
ダイシン モービル グレーチング
DMGシリーズは立体駐車場用床用鋼板として開発されたもので、特にタイヤを傷つけないようにエキスパンドメタルのメッシュに特殊加工を施した、ノンスリップフロアーパネル用エキスパンドメタルです。
コンクリート床・縞板鋼板床に比べて軽量で経済的であるばかりでなく、通気性・採光性の点でも有利です。乗用車用の他にトラック用・バス用等各種強度のエキスパンドメタルがあります。
- 用途
- 店舗・マンション・アパート・空港・社員用等の立体駐車場やカーディーラー、メーカーのストックヤード駐車場、博覧会・催し物会場の臨時駐車場等
DMGタイプは受注生産のため、ご相談ください。
XPシリーズ
汎用エキスパンドメタル
XPシリーズはXG(G)・XSシリーズ以外のメッシュの汎用エキスパンドメタルです。エキスパンドメタルの用途の広がりにともない、従来のXG(G)・XSの他にさまざまなメッシュを用意しており、特にメッシュ(SW×LW)が10×20未満のものは、スモールメッシュエキスパンドメタルとして、広範な用途に使用されています。
SXPシリーズ
ステンレス エキスパンドメタル
SXPシリーズはステンレス鋼板を使用原板として製造されたエキスパンドメタルで、SUS304が標準品です。
素材特性により、特に耐蝕性・耐候性が要求される箇所に使用されており、メンテナンスの点で有利です。
- 用途
- 原子カプラント・化学工業プラント・食品工業プラント等各種プラント、航空宇宙機器、公害防止機器、省エネルギー機器、海浜構造物等または建築物天井パネル、各種花木棚、台所用品等
標準在庫
標準在庫設計資料
荷重および設計応力
エキスパンドメタルにかかる荷重および設計応力は、建築基準法施行令に定めるところに準ずるものとし、用途によっては特殊な荷重による応力を考慮してください。 エキスパンドメタルの強度はLW方向が強く、SW方向はLW方向の⅕程度の強度ですから、荷重はすべてLW方向に持たせるように設計してください。
応力および変形
エキスパンドメタルは主として工場、船舶、産業施設などの床張り、歩廊として使われていますが、この場合エキスパンドメタルに荷重が加わった時、エキスパンドメタルは最初、
板のように働いて曲げモーメントに耐えますが、更に荷重が加わると曲げ材としての応力の限界を超えて部分的に座屈します。
しかし、エキスパンドメタルの端部が溶接その他の方法により固定されている場合、エキスパンドメタルの断面には引張力が生じ、
引張材として働くことによって、曲げによる座屈後もさらに大きい負荷に耐えることができ、断面に働く引張応力が破壊応力を超えると主として、ボンド部とストランド部の接続部で破断します。
エキスパンドメタルに生じる曲げモーメントおよびたわみはその形状やメッシュ性から簡単に扱うことができませんが、
エキスパンドメタルは通常、歩廊や床張に使用され、上を人が歩く場合の安定感から許容たわみを3~5mm程度におさえられて使われており、
この程度の範囲では、エキスパンドメタルをプレートに準じて扱い、プレートの公式によって曲げモーメントおよびたわみを求めるのが合理的であると考えられます。
【梁の反力、曲げモーメント、たわみ】
集中荷重時の働き巾
エキスパンドメタルに集中荷重が加わった場合、その荷重を支持するためにどの範囲のメッシュまでが有効に働くか、
理論的に導き出すのは非常に難しいが荷重の伝わり方を下図のように考えて、集中荷重を支持させると安全側になります。
この場合、エキスパンドメタルの荷重支持巾は
となります。
種類 | XG11~14 | XG21~24 | XS31~33 | XS41~43 | XS51~53 | XS61~63 | XS71~73 | XS81~83 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
SWLW | 0.251 | 0.354 | 0.393 | 0.433 | 0.410 | 0.446 | 0.328 | 0.369 |
許容応力度
エキスパンドメタルの素材はJIS G 3131(熱間圧延軟鋼板および鋼帯)の一種(SPHC)に規定されたものですが、 この材料は引張強さが270N/㎟以上という規定だけで、降伏点の規定がなく、許容応力度を定めることができません。 鉄骨造の建物の床に使われている材料にエキスパンドメタルと同じ普通鋼で作られているデッキプレートという鋼板があり、 デッキプレートの取扱いを定めた「床鋼板構造設計・施工規準―2004(日本鉄鋼連盟)」では、 基準強度をF(N/㎟)としてその場合の許容応力度を定めていますので参考として掲げます。
メッシュ形状
断面性能
エキスパンドメタルの断面性能はその形状の複雑さ、ストランド部とボンド部とでの断面性能に大きな差があることなどから 簡単に扱うことはできませんが、エキスパンドメタルの断面性能としては強度面で弱点部であるストランド部の断面性能を適用、 その断面性能は次式によって算出します。
但し、
T, W, SWの単位は[mm]
- Ix
- ストランド1個の断面2次モーメント(mm⁴)
- Zx
- ストランド1個の断面係数(m㎥)
- A
- 1m巾当りの断面積(c㎡)
- I
- 1m巾当りの断面2次モーメント(cm⁴)
- Z
- 1m巾当りの断面係数(c㎥)
- h
- ストランドのX-Y軸系における純曲げ時の中立軸高さ(mm)
サイズの選定
許容荷重図
エキスパンドメタルに等分布荷重が加わる時、たわみ限度をスパンの1/200とした場合の許容荷重のグラフを次に掲げます。 エキスパンドメタルのような部材の場合、端部を全点溶接しても完全固定とすることは難しく、 拘束の度合は単純支持と固定支持の中間の半固定のような状態になるものと思われます。 またその時のたわみは、完全固定の場合の2倍位になることが実験的に報告されているため、 両端固定の場合のたわみ式を2倍したものを参考までに掲げます。
等分布荷重、両端単純支持の場合の許容荷重図(理論値) |
---|
エキスパンドメタルの端部取付状態が、2、3メッシュ毎の溶接またはボルト止めで、 両端単純支持と考えられるものへ等分布荷重が加わる場合について、 エキスパンドメタルの種類別に許容荷重とスパンの関係を示したグラフです。 |
等分布荷重、両端固定の場合の許容荷重図 (理論値) |
---|
エキスパンドメタルの端部取付状態が全メッシュ溶接で、両端固定(半固定)と考えられるものへ等分布荷重が加わる場合について、 エキスパンドメタルの種類別に許容荷重とスパンの関係を示したグラフです。 |
たわみ表
エキスパンドメタルに集中荷重が加わる時、たわみの理論的解析はその形状や力の伝達メカニズムの複雑さによって簡単に扱うことができませんので、集中荷重時のたわみ実験値を参考までに掲げます。
中央集中荷重、両端単純支持および両端固定の場合のたわみ表 (実験値) |
---|
XG21~24(XG11~14はXG21~24に準ずる)を使用する場合は下表集中荷重時のたわみ実験値を参考にして、サイズ、スパンを決めてください。 XSを使用する場合は、集中荷重時の働き巾を参考として、応力、たわみを算出して、サイズ、スパンを決めてください。 |
加工・施工
加工一般
- 切断は断面形状を損しないように、原則として機械切断してください。手動ガス切断する場合には、切口が美しく、かつ切欠きがないようにしてください。
- 曲げ加工は常温または熱間加工とし、その際に発生したひずみは矯正してください。 溶接熱その他加工中に生じたひずみは、適当な機械的方法または加熱法などにより注意深く矯正してください。この際の加熱温度は約650℃以下とし、特に局部変形を生じないように注意してください。
- 防錆処理は地域や用途に応じ、適当な塗装または亜鉛めっきをしてください。特に腐食が激しい化学工業地帯内の建築物については、各種腐食条件に応じて耐酸塗料、耐アルカリ塗料または亜鉛めっきなどを用いて処理してください。
施工一般
(1)配置の方向 | |
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エキスパンドメタルの強度は、LW方向が強く、SW方向はLW方向の⅕位しか強度がありません。 従って、エキスパンドメタルに曲げ荷重を持たせるように使用する場合には、網目の長目の方向(LWの方向)がスパン方向と一致するように配置します。(第1図参照) |
(図1) |
(2)傾き | |
エキスパンドメタルのメッシュは、平面に対して傾きを持っており、SW方向の網目には網目の良く見える方向と、刻み目に隠れて網目の余り良く見えない方向があります。 階段の踏板やロードマットなどにエキスパンドメタルを使用する場合、矢印の方向を手前にすると辷り止め効果が大きく、歩行が楽にできます。(第2図参照) また、道路などの遮光板や建築物の目かくし板(シェード)などに使用する場合も、適当な傾きと開口率をもったエキスパンドメタルを選定することにより、大きな効果をあげることができます。(第3図参照) |
(図2) (図3) |
(3)取付け | |
エキスパンドメタルを梁、または形鋼などに取付ける場合はボルト接合や溶接が最も多く用いられます。 支持点の構造および末端の処理方法をいくつか掲げます。(第4図、第5図参照) |
(図4) (図5) |
(4)側縁の溶接 | |
エキスパンドメタルの使用状況によって側縁への溶接箇所は2網目、3網目、または4網目毎でも差支えありません。(第1図参照) しかし、交通の頻繁な場所、衝撃の恐れのある場所、振動の甚だしい場所などでは、溶接箇所が少ないとたわみが大きく、長い間に溶接していない端部が起きてきたりするので、全網目を溶接するのが安全です。 |
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(5)継目 | |
エキスパンドメタルをSWの方向に接合する際は、隣りあう2枚の端を第6図のように突合わせて溶接するか、または第7図のように重ね合わせて溶接します。その時に網目が整然と一直線になるように、また、各ストランドの斜角の方向が一定の向きになるように配置します。(第8図参照) | (図6) (図7) (図8) |
(6)エキスパンドメタル上で重量物を取扱う場合 | |
エキスパンドメタル上で臨時に設計値を超えた重量物を取扱う必要が生じた場合は、梁から梁へ角材または厚板等を渡し、荷重が直接、エキスパンドメタルにかからないように保護してください。 |